ウルトラへの道~終わりは始まり~

2014年09月15日

小雨の中で始まった人生はじめてのウルトラマラソン・・・
多くのドラマを経験し、最終局面へ・・・

全ての関門を閉鎖10分前に出ることができ、残りはゴール閉門の夕方6時半・・・時間との勝負になった。
右足は下り坂での快走のため、昔の古傷が再発し止まると走れない状態になった。
手元の時計で6時00分・・・残り30分、残り4キロ・・・・
多くのランナーが最後の勇気を振り絞り、震える足で歩を進める・・・

残り1㎞、手元時計で6時20分・・・ここからの光景のために私は参加したのだと想う。
近所のみなさんが沿道に並び、大声で声援をくれる
すでに暗くなっているコースは、ライトで光の通路となる。
見ず知らずのランナーから
『最後、みんなでゴールしましょう!』
と掛け声をかけられ、声にならない声を出す・・・
すでにゴールしたランナーたちが残り200メートルにから『ナイスラン!』と叫び、ハイタッチの道をつくる・・

もう私はすでに涙腺が崩壊しており、そのままゴールになだれ込んだ・・・完走のメダルを首に付けられた時、何年ぶりであろう、嗚咽を上げて泣いた・・嬉しさもあるが、この途方もない距離をこなせた過去の自分の努力に泣いた。また、この大バカ者たちの集まりの中で、自分もその一人になりえた幸運に心が震えた・・・

なぜ私は私をいじめ抜くことを止められないのだろう・・・
堀居から『なぜ100㎞も走ろうと思えるのか?なぜそんなことを決められるのか?』
との問いを受けたが、私自身これといった答えがなかった・・・
ただわかったことがある。
昨年から出会いより別れが多くなったこの頃であるが、無謀と思える行為の中でこそ、多くの出会いを経験できる。
また、本当に人生には勝ち方もあるが、負け方もあるということだ・・

直前日、同宿した彼は、初心者の私にいろいろアドバイスをくれた。偶然75キロ地点で会うことができ、ゴールでの再会を約束した。
私がゴールして、大会自体が閉会した中、彼が戻ってきた。彼は二年前にこの大会で途中関門で時間切れとなり、リベンジの大会であった。
そんな想いの中で望んだ今大会でも彼は残り15分の壁にその夢が途切れた。
しかし彼は途中で競技を投げ出すこともなく、ゴールテープも記録もないのも知っていてもそれでもゴールラインを目指した。
多くのランナーがそんな彼に『ナイスラン!』の祝福を送った。
ウルトラマラソンはマラソンではない、『修行』であると思う。多くの一緒になったランナーとそんな話をしていた。
それが事実として、彼の行動は私の心を震わせた。結果を求めるため努力をし、それがなしえないとしても、次のステップへの足がかりとして見事な負け方をなしえた。その時の彼の目の光を私は忘れることはないだろう・・・・

多くの経験と多くの出会いをくれたウルトラ・・・終わりは始まりである。

記録『第14回 丹後ウルトラマラソン』参加者 2268名 タイム13時間57分16秒 男子完走率 69%
閉門まで残り2分であった・・・OLYMPUS DIGITAL CAMERA