職業体験

2014年11月19日

最近、どの学校も中学2年は職業体験の時期です。
今は斑鳩中学校。
病院など、体験できる職種も年々増えてきているようです。
僕の中学時代にはなかった行事なので、うらやましい気がします。

家でお商売をしている家庭しか、親の働く姿や「働くこと」を肌で感じながら成長するということのない社会に私たちは生きています。
どんな「職業」に就くかあれこれ悩まなくても、どの家に生まれるかで自分の仕事が決まっていた遠い昔とは違って、今は「何の仕事をするか」という選択を強いられる社会である、とも言えます。

そういう社会において、子供たちが(あるいは親も)持つ「仕事」に対するイメージは、何か現実の生活とは遊離したものになってしまっているのではないか、という気もします。

つまり、ちょうどテレビ番組の「○○大陸」で紹介されるような、過度にドラマチックな演出が施された現実離れしたものこそが、「仕事」だと勘違いしがちなのではないか、ということです。
たまにあの番組を見ることがあるのですが、たいがいの登場人物が「ちょっとこの人病的に躁状態なんと違うやろか?」と心配になるくらい、自信たっぷりに「仕事」を語っていてちょっと引いてしまいます。まあ、そうでないとテレビ番組にはなりませんが。

どんな職業でも、その本質は生きていくことや日常生活と言った言葉に近い、地味でジワーっとしんどくて基本的に昨日と変わり映えしないもの、であるに決まっています。私たちが仕事からドラマチックな喜びや苦しみといった意味を見出すことがあるのは、この地味でしんどくて冗長であることを自分のこととして引き受けるからこそです。

中学生の彼らは職業体験を通して、仕事のそういった側面をひょっとしたら肌で感じることができるかもしれません。
多くの生徒が職業体験後、「お菓子もらえたのがよかった」とか「めっちゃしんどいだけやった」とか「ぜんぜん面白なかった」と言葉では表現するのですが、もしかすると仕事のそういう側面を身体で実感しているからかもしれません。

その意味で、この「職業体験学習」はとても意義深い行事だと思います。

先日、豆腐屋に体験に行く生徒が、「明日からオレ5時起きやねんぞ!豆腐凝固剤(ニガリ)とか用意しなあかんねんぞ!」と明るい声で嘆いていましたが、豆腐屋の作業が彼にとって、あるいは彼の無意識にとって実のある経験となればいいなあと思います。

それにしても豆腐屋で職業体験・・・豆腐作りを体験できるんですよ・・・うらやましい!!