11月27日
前略 お袋殿
お袋殿が天に召されてから、今日で一年の時が流れたことになります。
そちらはどうでありますか・・・お袋殿のことでありますから既に大勢の新しい知り合いができ皆で合唱でもしておられることでありましょう。
私はなんとかやっております。
昨日の日曜日も朝から堀居先生と期末前の中学三年生の指導に明け暮れ、気づけば日が傾く時間となっておりました。
二学期の期末テスト対策もあと数日となりました。
昨年は最後まで教えきれなかった無念の想いを胸に、今年の生徒と今日を過ごしておりました。
あなたは会うと必ず『生徒を大事にしなさい』と私に言っておりました。
私は『そんなことわかってる!』と面倒くさい顔して言っておりましが、実はちっとも分かっていなかったことをあなたが去ってから気付いた次第であります。
人の真の心の強さを身をもって示された・・・
モルヒネの力を持ってしても押さえきれない痛みの中であなたは叫びながらも戦い続けた・・・
病魔との戦いに逃げること真正面から渡り合った心の強さ
その姿を思うとこの仕事を続けていける感謝を胸に、日々の生徒との時間を無駄にするわけにはいかないと悟らせていただきました。
日々を無為に過ごすことなく私なりに送っておると思っておりますが
空のかなたより見られて私はどうでありますか・・・
今日だからこそかなうなら、弱い私にあなたのやさしく元気な声で
『ちゃんとし!』という声をもう一度聞きたいと思ってしまうのであります。
お袋殿 愚息はそれなりに生きております。
また会えるその日まで私はこちら側であがきながらも進んで参ります。
日が上れば花を手に会いに参りますので話の続きはその際にでもいたしましょう・・・
小春日よりの日になりそうです。
早々